地域に若者のチャレンジの場を作り出す、チャレンジプロデューサーを発掘・育成・支援
チャレンジプロデューサー/ChallengeProducer.net ChallengeProducer.net
特定非営利活動法人ETIC.
メールニュース このプロジェクトについて 運営団体
TOP チャレンジプロデューサーについて 全国のチャレンジプロデューサー 「地域X若者」最前線 イベント&セミナー
トップページ > チャレンジ・プロデューサーの先人(徳島県上勝町編:株式会社いろどり 横石知二氏)
 
このレポートでは、それぞれのテーマを持ち、地域を変革していった仕掛け人たちに、思いや仕掛けてきたことを聞き、 まとめました。
これから、地域でチャレンジをプロデュースされる方の何かのヒントになればと思います!

 

      葉っぱを売って事業にする!

 事業をおもいついたのは、偶然です。大阪のがんこ寿司でご飯を食べていたとき一緒にいた女友達が、葉っぱの話をとても面白がってくれたんです。驚いたのが、きれいなハンカチをだして、その葉っぱを持って帰ったこと。「上勝町にある山の恵みが生かせる「つまもの」事業。これならいける!」その時思いました。しかし、葉っぱを売ることを上勝町に帰ってから言うと「こんな葉っぱ、北海道や九州まで山にはいくらあると思っているの? そんなの事業になりっこない」と言われてしまいました。
 そして、この葉っぱの話が持ち上がったときに、一つだけ乗り越えなければいけない大きな壁がありました。それは、「この葉っぱを送ることが恥ずかしい」という町民の気持ち。隣の人に、そこらへんに生えている葉っぱを売っているなんて知られたくないから、という声を聞きました。葉っぱの価値をまったく分かってもらえなかったのです。これは非常に難しい問題だと思ったので、実際に料理屋に連れて行くしかないな、と思いました。
 それから吉兆など、京都や大阪の一流料亭へ連れて行きました。おばあさんに、料理人の方から直接、「こんなふうに葉っぱは使っているんですよ」と説明をしてもらう。そうしたら、後から気がつくんですね。息子に吉兆行ってきたよ、というと、息子はそんな高級料亭に行ってきたのか、と驚くわけです。それで、おばあさんたちが、そこら辺に生えている葉っぱにすごい値打ちがあるんだな、ということにだんだん気がついてきたんですね。そして、こういう「笑顔」がでるような事業になってきました。やはり、現実と、現場を見せるということが一番大事だと思います。なんぼ机のうえでやっても現場がわからなかったらだめです。

 それからのおばあさんたちの変わりようはすごいですよ。集まりの時には、お化粧やおしゃれもするようになりましたし、ある方は、月に50万以上稼いでいて、息子さんにマンションを買ってあげていました。飛行機に乗って、自分が買ったマンションを見に行くくらいの喜びようでした。

 よく、なぜ、事業をやり通せたのですか?と聞かれるのですが、やり始めてからは、何も考えなかったですよ。もうとにかくがむしゃらにやっていました。現状をなんとかしたい、という気持ちだけです。一番難しかったのは料亭通い。一品出してきたら、この葉っぱを何に使うのですか、と聞いてはメモをとっていましたよ。当時は事業を始めたばかりで、最初のうちは持ってきた葉っぱを「持って帰れ」とつき返されたこともありました。そういう世界の中でやってきました。でも、つらいとか思いませんでした。なんとかこの事業をやりとげたい、ということだけしか考えていませんでした。

 

      正座でパソコンを使う80歳のおばあちゃん

 上勝町が、どうしてこのようなことができるのかというと、仕組みがあるからです。
 一つ目は役場の防災無線を使います。日本で始めて開発した同報無線ファックス。本来は危険を1秒でも早く知らせるためのものだったのですが、それなら、注文を1秒でも早く知らせてあげたら喜ぶな、と思ったんです。加えて、このシステムは役場のシステムですからお金もかかりませんし、ボタンを押すだけで一斉に目的の場所までFAXが送られます。これを見たおばあちゃんたちから、「はい、私!」という風に連絡が入ります。もちろん、早いもの順です。現在、16時ですが、これから電話を入れてある商品がほしい、と電話で伝えたら、1時間後にはそろえて見せます。そして、19時5分徳島発の飛行機にのせて東京に運んでこられます。

 もう一つが、高齢者専用パソコンです。絶対この年代はパソコンを使うのは無理だと思われていて、役場で補助事業としてお願いしたら、議会に通りませんでした。「わしらが使えないものは親になんて、使えない」と言うんです。それから、全国を回ってパソコンを導入している地域を見に行きました。役場ではちゃんと説明をしてくれますが、実はほとんど使われていませんでした。
 その時、「何のために」パソコンが必要なのか、ということが、一番大事だと思いました。あくまでもパソコンは道具です。それから、経済産業省の公募事業に応募し採択されて、1億600万円かけて高齢者専用パソコンを導入した事業に取り掛かりました。このパソコンを使うとき、みんなデスクに座らないで、正座をしてパソコンを使います。独特の姿ですよね。

 そして、これを使っている方は、絶対に毎日見ます。見なきゃ損ですから。昨日出した葉っぱがいくらで売れたかの順位をつけており、自分の順位だけ見られるようになっているのです1番の人は常に1番でいたい、と言っています。話を聞いてみると、近所を回って順位を聞くのが楽しくてしょうがないと言うんです。「あんた何番や?」と聞く。そうしたら、みんな自分より下ですから、それが快感でしょうがないんですね。また別のある方は、旅行に行く前に「2日間で追い抜かれないかね・・・」と聞いてくるくらいです。場合によっては、旅行も取りやめにしようと思う、と言っていました。みなさん、それくらいプライドがありますよ。

 パソコンの工夫としては、パソコンでは、画面を見たら全てが分かるようにしています。主要品目の先読みですね。1ヶ月先にどのようなものが、どれくらい売れるか。1ヶ月間で売れる日と売れない日では10倍も違います。今は名古屋が万博の影響で盛り上がっていますね。全国の情報が分かるように、経済新聞、農業新聞の情報が全部入っていて、これを80歳のおばあちゃんが見るわけです。

 

      仕組みが人を、町を、風土を変えた

 効果を見越して仕組みを作ったのではないんです。仕組みによって、こんなに地域も人も変わることは自分自身でも驚きでした。
 田舎は長年の生活習慣からずっと抜け出せないでいるところが多いと思います。何かを始めるとき、自分だけ、自分から、という考え方にならないのです。だから、講演会をしても、視察に連れて行ってもダメなんです。何回もやっても、「いい話やったな〜、自分たちも変わらないとな」という話はでても、1ヵ月後、状況はまったく変わっていない。これは結局、当事者でないからです。自分が参画するという意識がない。自分のこととして問題点が見えてこないんです。何が大事かということが分からなかったんです。しかし、住民が事業に参加できるような仕組みを作ったことによって、思考力を高めるトレーニングを毎日やるのと同じことになりました。例えば、農村だったら、家にいたら情報がないのが普通です。でも、この仕組み、無線やパソコンによって、毎日、価格がどういう風に変わっていっているか、何が大事かを考えるようになりました。

 皆さんが地域で活動するときに、必ず知っておいてもらいたいのは、皆さんのモチベーションは非常に高いということ。自分のモチベーションだけが高くても、結局、住民のモチベーションをあげなければ何も始まりません。モチベーションの差があるから、みなさんがやろうとしても、なかなか連動しないんです。そして、それを解決するために、仕組みが必要なんです。

 あるおばあちゃんなんか農林省の人が視察に来たときに「いつもお世話になっています。今日はシラク(大統領)さんがお見えになっているみたいですけど、晩餐会はやらないんですかね? もしやるようでしたら、ぜひ、うちのいろどりを」と薦めるわけです。びっくりしますよね。
 晩餐会でいろどりの話をする。これが、モチベーションなんですね。変化に対して、常に自分のこととして捕らえているんです。それから、他のおばあちゃんですが、散歩が日課になっているのですが、健康のためではありません。じーっと畑を見ながら、あそこの葉っぱは何センチくらいだから、あと何日で取れるな、というのを見て歩いているんです。葉っぱを取るときは、1秒勝負、ワンタッチ勝負なので、あらかじめチェックしておかないと取れないんです。自分の仕事場、環境の変化を自分のこととしてとらえているんです。

 結局、地域づくりは、地域のモチベーション、ソフト力を上げること、それによって、みなさんと同じように歯車が回ってきます。その仕組みをどうやって作るか。それにしても、たまたま作った仕組みが、こんなにもモチベーションを上げることにつながるとは、と自分でも驚いています。

湯布院 仲谷健太郎氏
SOHO@しずおか
小出宗昭氏
3
株式会社いろどり
横石知二氏
福岡県飯塚市
地域づくりの仕掛け人たち
笠間工芸の丘
久保忠雄氏
上勝町のお年よりは働き者。横石氏から毎日届くFAXを励みに今日も葉っぱをせっせと採っている。
 
 
80歳のおばあちゃんも、正座をして机の前に座り、パソコンを使いこなしている。
 
「仕組みによって地域や人が変わったのは、私自身驚きでした。」と語る横石氏。
 
 
 
 
お問い合わせ チャレンジコミュニティー創成プロジェクト/チャレンジプロデューサー/ WEB利用規約
チャレンジコミュニティー創成プロジェクト/チャレンジプロデューサー/ChallengeProducer.net/CP Copyright(C) Challenge Community Project.All Rights Reserved.