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トップページ > チャレンジ・プロデューサーの先人(湯布院:仲谷健太郎氏)
 
このレポートでは、それぞれのテーマを持ち、地域を変革していった仕掛け人たちに、思いや仕掛けてきたことを聞き、 まとめました。
これから、地域でチャレンジをプロデュースされる方の何かのヒントになればと思います!
 

 

      とにかくドイツへ! そこで見つけたものは?

 僕らが狙ったのは、既成の大観光地にないもの、その裏側を狙う以外になかった。だから、すべて裏をねらいました。うわっと来て日常のうさを晴らして、というのは必ず1泊なので、われわれは2泊3泊とターゲットを定めました。これは40年前というか、正確に言うと80年前にそういうターゲットを定めていたのです。80年前に祖父たちがこの町をどうしていったらいいかを案じたころに東京から本多静六という林学博士をお招きして、由布院の将来計画を立てた、それが大正13年のことです。興味深かったのは、当時の書き物が残っており、ドイツのバーデンバーデンのような滞在型の温泉地を目指せ、由布院は歓楽的なことをやれる地域じゃない、これだけの山とこれだけの環境、心や体を癒すという条件がそろっているではないか。しかも、関東大震災があってひどいことになり、みんながくたびれている、みんなが頑張りすぎては体がもたないから、疲れた人たちが体を癒すところが必要、これはお国のためだ、ここで人々を癒す空間をつくるように頑張れと、そう書いてありました。

そして、それにはドイツを見習え、とあったのです。議会では羽織を着て下駄を履いていた時代に、何がドイツだと思うけれど、その頃は三国同盟でドイツと仲が良かったんですね。田舎のおっちゃんたちが、ドイツか、そりゃすげーなとなったと思います。散策路や植物園とか図書館とか、いっぱい計画していました。そんな計画が眠ったままになっていて、いま見れば不思議でもなんでもないかもしれませんが、我々がそれを発見して大騒ぎするまで、40年間だれも注目しなかった。戦争やっている時代に、温泉入って、何が図書館だと。我々が発見するまでは屑籠に入っていたんです。滞在型の、心と体を癒す、といってもよく分からなかったんでしょう。

 確かに、滞在型の観光は、日本にもありました。しかしそれは、一握りのお金持ちや、あるいは入湯滞在という、米やなんかを持って行って、薪代だけ払うというようなものしかありませんでした。入湯滞在、大金持ちの別荘滞在、それと一晩のどんちゃん騒ぎ、これしかなかった。ドイツのような平均3週間、散策したり休養したり、1週間が体のケア、1週間が美術とか料理とかの勉強、もう1週間が遊びというようなコース、それを造れといわれても、よくわからなかった。
 
私たちは、とにかくドイツの様子を見てみようと思い、現地に飛び立ちました。35年前のことです。そして、ドイツで50日民泊したら、ばっちり分かってしまった。
 ゆっくりしてもらえばいいんだ、ということです。
 そのために足りないものは何かといったら、空間環境と静けさです。代わりに、宴会場とか女中さんとか派手な料理を作る料理人などはまったくいらないということも分かりました。顔見知りの人が待ってくれるとか、朝一番に手作り豆腐を食べさせてくれるとか、ひとりの人が1週間滞在できる条件づくりが目標になりました。
 ここ最近、3〜4年前から、2泊3泊で滞在する人が増えてきました。なかでもリピーターは大事で、というのも、初めての人は連泊しません。リピーターは、由布院全体で50%、亀の井で75%、そのうち25%が連泊いただいています。3泊になるとまだ苦しい。ヨーロッパでは、モーツァルトが泊まったと昨日のことのように言っているような、300年の昔から続いている施設などがあって、長期滞在が根づいていますが、私たちのところでは3日が限度でしょう。

 3日間の滞在を目標とするとなると、まちの造り方も変わってきます。3日間同じ旅館では無理でしょうから、各旅館が明快に個性を打ち出し、1泊目はどこ、2〜3泊はどこに行ってという明快なイメージ情報を出していくことが必要になります。ここに泊まっているが、飯だけ食いにそこへ行くよ、お風呂だけ入りに行くぞ、というように、お客さんを相互にやりとりしないと、とても3泊もたない。そういうことは各旅館が一斉にしないといけないことです。

 

      人間関係を育てる秘訣は「多面的」な付き合い。

--いま、まちを造っていくと言われましたが、ご自身の旅館を改革するのではなく、まちを造っていくということは、きちんと方針を伝えなければ伝わっていかないと思います。どういう風にしていろんなひとを巻き込んでいったのですか。

【中谷】 難民救済などやっておられる犬飼道子さんは、どんな大きな運動も10人を超えたら瓦解する、と言っています。10人が問題を分かりやすくすることに全力をあげる、その精神があればまたその1人を中心に10人の輪ができれば必然的にその後ろに100人の輪ができる。

 僕らの由布院盆地は狭いとは言え7,000人。対する僕らは、始めたのは3人です。3人がかみさんや子どもを連れてやってきた。母ちゃんは母ちゃんで、私らは私らで、それぞれのうしろにはそれなりに広がりがある。私は東京にいた頃、映画をやっていたこともあって、わがままなのかもしれませんが、嫌いな人とは付き合わなかった。でも田舎だとそんなこと言ってたら誰もいない。
 東京では、同志というような人と、顔と顔を突き合せる感じで付き合う、他の人とはまったくの他人です。それが、田舎では多面体の付き合いをすることになる。多面カットしているから、全面で付き合うことはない、ひとつの面だけで、付き合えばいい。

 たとえば、政治的な話題や思想などで真っ向からぶつかるような人でも、謡曲や絵などで付き合ったりするわけです。謡曲は相手の方が上手く絵は僕の方が上手かった。だから、謡曲では相手が先生だし、絵では僕が先生になる。そうして多面的な人間関係を作っていくわけです。田舎ほど多面的な人間関係を造れるところはないと思います。



湯布院 仲谷健太郎氏
SOHO@しずおか
小出宗昭氏
3
株式会社いろどり
横石知二氏
福岡県飯塚市
地域づくりの仕掛け人たち
笠間工芸の丘
久保忠雄氏

 
熱のこもった中谷氏の話にひきこまれるチャレコミメンバー。
 
 
 
 
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